ありがとう、「左官教室」

月刊誌「左官教室」、
今月号で休刊との知らせがありました。

昭和31年創刊、歴史ある専門誌です。
毎月、当たり前のように送られて来た
その本の存在の大きさを
今更ながら痛感しています。

感謝の意を込めて
ここに小林編集長の「今月の言葉」を
掲載します。

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歌の別れ

街道をゆく車の廃ガス
建築の廃熱
耐え難い炎熱の八月の午後
判断は下る
聖勅のように

別れはいつかやって来る
湿式から乾式へ
手仕事から機械化へ
地場の職人からハウスメーカーへ
キムチはつくられるのではなく
漬けられるもの
壁は組み立てられるものではなく
塗られるもの
風景はあるものでなく
到来するもの

街道をゆく車の廃ガス
建築の廃熱
耐え難い炎熱の八月の午後
判断は下る
聖勅のように

別れはいつかやって来る
心臓から頭脳へ
感情から理性へ
寛容から排除へ
歓待から差別へ
湿式から乾式へ

そう
別れはいつかやって来る

西の山に陽が沈む
さあ 皆の衆
おいとましよう

散文の世界から詩の世界へ
乾式の世界から湿式の世界へ
測定と管理の世界から
アバウトでランダムでノーブロブレムな世界へ

キムチはつくられるのではなく
漬けられる
素焼きの甕の中で
時を待ちながら発酵し熟成する

壁は組み立てられるものではなく
塗られる
水と風の中で
時を味方につけながら
到来する
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「左官教室」615号 9月「今月の言葉」より
by i-sekkei | 2007-09-11 16:02 | 本棚 | Comments(0)


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